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習近平研究 支配体制と指導者の実像

定価: 7,700円(7,000円+税)
著者名:鈴木隆 出版社:東京大学出版会

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ISBN 978-4-13-030194-7
発行日 2025年01月26日
判型 A5
頁数 640

主な内容

序章 「問題」としての習近平
一 本書の課題――「習近平時代の政治」の全体像の討究(最高指導者、支配体制、社会との関係)
二 時代状況と指導者に対する分析の視座
(1)転換期としての習近平時代――政治、経済、社会における「三つの終焉」
(2)習近平の「三つの顔」――官僚政治家、軍人政治家、地方指導者
三 習近平研究の動向、主な先行業績の紹介と批判的検討
(1)習近平像の変遷――凡庸、奸智、独裁
(2)近年の代表的研究の論旨とその批評
(3)先行研究の共通理解と本書で追究すべき主な論点
四 本書の特徴と独自性――分析、叙述、資料
(1)想定する主な読者層、分析と叙述の留意点
(2)本研究が依拠する主な資料群――「内部資料」と「同時代資料」
五 本書の構成と各章の概要


Ⅰ 習近平体制とはなにか

第一章 習近平時代の支配と中国の自由、民主主義の「現在地」――歴史発展と国際評価
はじめに
一 政治の思惟と行動にみる歴史的連続性――革命党、被害者意識と欠落感、歴史の復仇
(1)「屈辱の近代」の経験と記憶
(2)統治の規模と国家統合をめぐる困難
(3)不信と変革の対外関係認識
二 現代中国政治史における習近平体制の位置づけ
(1)毛沢東時代(1950~1970年代)
(2)広義の鄧小平時代――鄧小平、江沢民、胡錦濤(1980~2000年代)
(3)習近平時代(2010年代~現在)
三 習近平時代における支配の正統性と「デジタル・レーニン主義」の支配
(1)正統性認識の三本柱――「豊かさ」、「便利さ」、「偉大さ」
(2)コロナ禍を契機とする政治社会の変化
四 習近平時代の自由と民主主義
(1)「不自由」な中国と「自由」な台湾
(2)グッド・ガバナンスの全面後退
五 グローバルパワーとしての存在感と人権をめぐる国際対立
(1)香港と新疆ウイグル自治区の人権侵害
(2)覇権競争の焦点としての「中国的人権」
おわりに――中国の自由と民主主義の課題
(1)内部エネルギーの不足と政治社会の分断
(2)人間の安全保障と外部契機としての「自由台湾」

第二章 「労働者」と訣別する「前衛」――創立百周年を迎えた支配政党の組織実態
はじめに――世界有数の歴史の長さと組織の規模を誇るヘゲモニー政党
一 党員統計の特徴と分析の方法的限界、議論の前提
(1)分類項目の変更
(2)分類項目の内容の不分明
(3)党員リクルートの数値目標
二 習近平時代の党勢発展
(1)党員リクルートにおける「習近平時代」
(2)優先的入党対象の職業集団
(3)入党者の職業構成の変化
三 党員集団の組織構成の変化とその趨勢
(1)在籍党員の総数と各職業集団の伸び率
(2)党員集団の高齢化とジェンダー・ギャップ
(3)在籍党員の職業構成の変化
おわりに――「二重の裏切り」と中国における共産党の名存実亡

第三章 「お仲間」の政治学――ポスト社会主義、比較社会主義の習近平・中国とプーチン・ロシア
はじめに
一 ロシア型権威主義とプーチン体制――ロシア・ウクライナ戦争前の研究動向
(1)ロシア型権威主義の強さと弱さ――カラー革命の阻止とエリート周流の停滞
(2)体制イデオロギーとポピュリスト的指導スタイル
(3)権力継承の困難と指導者イメージの集合的記憶
二 ロシアのウクライナ侵攻をめぐる中国の学習状況――ロシア・ウクライナ戦争開始後の研究動向
(1)経済制裁
(2)認知戦、世論戦
(3)宇宙戦略、スターリンク
(4)エネルギー安全保障
(5)食糧安全保障
おわりに――米国とロシアによる中国挟撃の悪夢、中ロ指導者の相互不信


Ⅱ 習近平とはどのようなリーダーか――過去、現在、未来

第四章 〈支配体制の申し子〉の政治的来歴――最高指導者になるまでの歩み(1966~2012年)
はじめに――習近平の「過去」と中国政治の「未来」、中国政治研究の新たな可能性
一 資料と分析の視角、解釈の留意点
(1)職務履歴と資料状況、「同時代資料」の位置づけ
(2)集合的、制度的存在としての習近平――中国政治における指導者の「主体性」と「独自性」
二 政治論のなかの持続的要素――支配と指導スタイルの要点
(1)一党支配の堅持とエリート主義の政治的伝統
(2)普遍性への留保と「場」のもつ独自性の強調、現場・情報・調査の重視
(3)経済発展と思想統制の並進、「闘争」観念に基づく言論と学問の自由の否定
(4)政治腐敗による民心離反への警戒と「歴史の周期律」
(5)「圧力」型リーダーによる組織的緊張感の維持、選挙制度への不信
三 政治家としての成長と政治認識、政治行動の変遷――任地と職位に伴う変化と発展
(1)陝西時代(1969~1975年、15~22歳)――習近平の「革命」と「長征」
(2)北京時代(1975~1982年、22~28歳)――中越戦争への「従軍」
(3)正定時代(1982~1985年、28~31歳)――党幹部としてのキャリア形成の開始
(4)アモイ時代(1985~1988年、32~34歳)――改革開放の政治と体制内改革派の横顔
(5)寧徳時代(1988~1990年、34~36歳)――改革開放の〈影〉と天安門事件の衝撃
(6)福州時代(1990~1996年、36~42歳)――官僚政治家としての飛躍
(7)福建省党委員会時代(1996~2002年、42~49歳)――「国政進出」の挫折と中台関係危機
(8)浙江時代(2002~2007年、49~53歳)――国家的指導者としての基礎的完成
(9)上海時代(2007年、53~54歳)――創業の地でのトップリーダーへの決意
(10)党中央政治局常務委員、国家副主席、中央党校校長時代(2007~2012年、54~59歳)
――最高指導者の「原型」の完成
おわりに――リーダーとしての連続と断絶、地方指導者時代の「権力への意志」

第五章 中国共産党「領袖」考――政治文書の用例にみる指導者称号と個人独裁の問題
はじめに
一 「領袖」復活の兆しと個人崇拝の懸念
二 政治文書における「領袖」の使用状況とその政治的意味
(1)用例と使用頻度の変化
(2)党の政治、組織原則との関係――八回党大会における鄧小平の説明
(3)関連する政治的術語との関係――「核心」、「AをリーダーとするB」
三 「新時代」の政治的退行と党主席制の復活
おわりに――徘徊する「領袖」の亡霊

第六章 「語録の世界」と「闘争」の人――習近平、毛沢東、文化大革命の政治連関
はじめに――毛沢東なき中国の「毛沢東思想」と毛沢東思想
一 分析の方法と視角、解釈の留意点
(1)資料の選定
(2)個人の内的、外的世界とテキストとの関係
二 『毛沢東語録』と文化大革命期の政治社会
(1)『語録』の刊行経緯
(2)『語録』の学習と「語録の世界」
(3)『語録』のなかの毛沢東の教え
三 習近平のなかの毛沢東思想
(1)出版活動の模倣による「毛沢東並み」の権威追求
(2)和平演変、カラー革命への警戒と抑制
(3)自己体験に基づく革命継承者教育の重視
(4)「敢然と闘い、敢然と勝利せよ」
四 時代精神としての「闘争」
おわりに――習近平思想学習と「第三の晩年の誤り」

第七章 〈最高実力者〉の誕生――事件は会議室でも起こる(2015~2018年)
はじめに――リーダーの「権力への意志」、指導権強化のための闘い
一 中国政治研究と経営学のリーダーシップ論
(1)政治と企業経営
(2)経営学のリーダーシップ研究からみた中国の歴代指導者
二 〈最高実力者〉への勝負と飛躍
(1)権力闘争の制度的アリーナとしての「民主生活会」
(2)党中央政治局民主生活会(2015年12月)
(3)中央軍事委員会民主生活会(2016年1月、2017年2月)
おわりに――「定於一尊」の〈最高実力者〉への変貌、党主席制復活のヒント

第八章 〈中華民族の父〉を目指す習近平、あるいは「第二のブレジネフ」か「第二のプーチン」か
――権力、理念、リーダーシップ
はじめに
一 制度による集権、集権によるシステムの変革
(1)集権化の過程と第四期政権の可能性
(2)権力集中の客観的要請と習近平の主観的危機意識
(3)現代政治の「大統領制化」の趨勢
(4)個人集権の特徴――肩書と明文規定への執着、サブリーダーの心理的統制の制度化
二 「中華民族の偉大な復興」をめぐる習近平の政治的思惟
(1)政治認識の基本的特徴
(2)支配の要諦と追求すべき国家目標
三 「家族と個人の時代」における父権主義的リーダーシップ
(1)GDP一万ドル越えの政治社会――「和平演変」と「主観的能動性」の不活性
(2)格差是正による次世代国民の支持獲得
(3)「習近平チルドレン」育成の思想教化
(4)「中華民族の父」の指導スタイル
四 「習近平時代」の政治発展のゆくえ
(1)2030年代まで続く「習近平時代」
(2)二一回党大会での習近平の出処進退のシナリオ
おわりに――「習近平時代」における習近平個人と支配体制のリスク

第九章 台湾有事と「東アジア近代史の総決算」の可能性――台湾統一/併合をめぐる政治論
はじめに
一 習近平政権の台湾政策の特徴と論理
(1)中国ナショナリズムの強調と台湾の歴史的、政治的主体性の軽視
(2)「中華文化」に基づく擬似血縁共同体の論理と「天然」をめぐる対立
(3)単独行動主義の強化、「現状」をめぐる米国と中国の相克
(4)社会経済の各種優遇策による台湾人青年層の取り込み
(5)福建省を主な舞台とする「両岸融合発展」の経済、文化交流と人的往来の促進
(6)一国二制度による「台湾の香港化、中国化」の推進
二 「中華民族の偉大な復興」に対する台湾の意義
(1)中国ナショナリズムと「東西」対抗の政治的磁場――歴史の復仇と二一世紀の覇権競争
(2)一党支配に対する民主化リスクの震源地――一国二制度による台湾、香港の中国化
(3)シーパワー強化による覇権実現の橋頭堡――海軍力増強と海洋進出の積極化
(4)習近平の「個人独裁」と重要人事の特徴
三 台湾政策の「原風景」、認識の「古層」としての福建省時代
(1)官僚政治家としての栄達と台湾海峡危機――二人の「恩人」、李登輝と胡錦濤
(2)台湾政策の原型――擬似血縁集団と台湾特別区構想
(3)対台湾秘密工作――辜振甫など台湾各界要人への接近
(4)厳復と日清戦争をめぐる歴史認識と領域観念――海軍、台湾、沖縄・琉球
おわりに――「東アジア近代史の総決算」の可能性

終章 習近平時代の中国政治の将来、台湾問題をめぐる日本の政治戦略
一 習近平研究の暫定的な総括と補足
(1)習近平の個人集権と権力闘争勝利の要因
(2)「アマルガム」の指導者――独自性の追求と党内民主主義の放棄
(3)指導者要因による体制不安定化のリスク
二 権力の伝統に回帰する中国政治
(1)トップリーダーとサブリーダーの関係――君臣関係
(2)サブリーダー同士の関係――宮廷政治
(3)トップリーダーの権力継承――門閥と世襲
三 台湾海峡での紛争予防に向けた日本の政治戦略
(1)前提条件
(2)目標と基本方針
(3)実行策の要点

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